社交ダンスの歴史

 最初に誕生した社交ダンスは、ヴェニーズワルツでした。ワルツの起源ははヨーロッパの民衆の中で踊られていたダンスだと言われています。プロヴァンス地方で踊られていたヴォルトというダンスが始まりだという説と、南ドイツからオーストリアにかけての民族舞踊レントラーというがルーツだという2つの説があります。12世紀ごろから徐々に王侯貴族たちの間で踊られるようになり、ルネサンスのころヨーロッパ各地で流行しました。

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 ホールドをしないで踊るラウンドダンスが16世紀のエリザベス1世の頃まで続き、その後ラ・ボルタと呼ばれる体をコンタクトして踊るカップルダンスが登場しました。18世紀後半、ヴェニーズワルツで一対の男女が向かい合ったクロースホールドで踊るようになって現在の社交ダンスの形になりました。この時をもって、社交ダンスの誕生とされています。

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 民衆から遅れる形で、ヨーロッパ諸国の宮廷の舞踏会でも、若者を中心にワルツが人気となりましたが、男女が抱擁するこのダンスは、年配者や宗教関係者からは強い反発を受け、何度か禁止にもされました。やがて、大陸では、18世紀に、それまでの宮廷舞踊に混じって典礼儀式などの機会に取り入れられて、上品化されていきました。イギリスでは、19世紀の、ワルツ好きのヴィクトリア女王時代になるまで偏見が続きました。

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 20世紀には、カッスル夫妻によって、これまでの爪先だけで踊るスタイルから、ヒールから歩く新しいスタイルが確立し、さらに優雅さが増しました。このスタイルの流れにより、イギリスのおいて競技ダンスの体系化がされました。

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 民衆の間では、新しい音楽が生まれるとともに新しい踊りも踊られる様になりますが、ほとんどが小さな流行で消えてゆきました。19世紀では、ブルースやタンゴ (アルゼンチンタンゴ)が広く普及しました。

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 20世紀前半になって、ジャズなどの北米生まれの新しい音楽の流行によりフォックストロットやジルバ等が、ラテンアメリカン音楽の流行でスクエアルンバやマンボやチャチャチャなどの新しいダンスが世界に広まりました。

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 以降も各国で新しいダンスが生まれては廃れていく中で、世界的な流行は、1990年代頃からのサルサとアルゼンチンタンゴまで待たなくてはなりません。21世紀になってからはインターネットのおかげで世界の情報が掴みやすくなったため、各国のローカル流行ダンスがつねに世界に向けられて紹介されつつあります。

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